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見て良かった。

この間、ポレポレで小森はるかさんの「息の跡」というドキュメンタリーを見た。これはとても見て良かった!陸前高田の、超語学堪能な種屋の店主さんが、津波でお店を流されてしまった後にプレハブのお店を自分で建てて営業しているお話。

個人的には、店主さんが本を出版するに当たってその意味が伝わるかどうか確認するために、撮影している恐らく監督の小森さんに「分かる?」と尋ねて、何も答える音声は入っていないのだけど恐らく小森さんが頷いていたようで、店主さんが「あ、分かるって言ってる」とおっしゃっていた場面が好きです。

全体的に、見ていて元気が出る作品だった。

ある意味で、写真のようなドキュメンタリーだった。

ある、ほんの一瞬の時間をそのままスパッと切り取ってそのまま記録したような、そんな、写真のような作品だと思った。

津波でお店がすべて流された後にプレハブのお店を建ててから、そしてその場所が再開発(なのかなあ)されるためそのプレハブのお店を取り壊すまでの間の、なんと言うか、その時しかない幻のような時間、何十年も何百年も経った後から振り返ったらほんの一瞬の、なんと言うか、地震津波が来る前の長い時間とその後に再開発されてまた長く続くその街の時間の中で、それはある意味で宙に浮いたような時間だと思う。それを映像で切り取って残したというのが、時間の切り取り方としてとても美しいと思った。滅多にない大災害の後にそういう活動をしていた人をきちんと記録したということで「意義がある記録映像」という言い方もできるかと思うけれど、ある意味、ずっと後から考えたら幻のような、フィクションじゃないのに人の記憶の中でフィクションのような伝説のようなことになり兼ねない時間を切り取ったという意味で、押し花のような作品、ある二度と返らない風景を閉じ込めたような、「映っている時間の存在感が濃い物語作品」でもあったと思う。

たね屋さんというのがまた素敵だね。何もなくなった所に新しくタネを撒くという意味で。タネって始まりとか再生の象徴だもの。作品の中にも希望のタネを撒くという表現があったけれど。素敵な店主さんだなあと思う。自力でお店を建てて再開した根性とエネルギーもすごいけど、自分があの日とその後の事を伝えていかなきゃいけないという使命感も半端なくて素晴らしいと思った。しかも語学とか勉強する努力も半端なくて、本当にあのかた、生き残った人としての責任を果たしてるよね。