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『サクラダリセット 前篇』…泣いている人のために

サクラダリセット 前篇』(103分 ☆☆☆★★3.5)

住民の半数が特殊な能力を持つと言われる地方都市・咲良田。

強力な記憶保持の能力者・浅井ケイ(野村周平)と、時間を最大3日間巻き戻せる能力者・春崎美空(黒島結菜)のふたりは、咲良田の能力者を統制する管理局の監視のもと、奉仕クラブのボランティアとして日々を過ごしていた。

そんな頃、咲良田の能力者から次々と能力が奪われていく事件が起き、ふたりはその調査をクラブから依頼される。

河野裕原作のライトノベルを映画化した青春ストーリー。

いやー、これはもう完全に世界観重視の作品だね。ある町の半数が何らかの特殊な能力を持っており、その力はその街でしか発動しない。何故か?なんてことは明確には説明してくれないので、その前提を理解した上で本作を見ないと「何やねん、これ」で終わってしまう、という(笑)

その前篇である本作は、2年前に不慮の事故で死んだクラスメート・相麻菫(平祐奈)の再生。そして「未来視」なる強力な能力を持つがゆえ、管理局に一つのシステムとして幽閉されている「魔女」の救出。このふたつのエピソードを軸に物語は展開する。そしてこれらのエピソードは互いに関連しあい、後篇のクライマックスになだれ込んでいく。

とりあえず前篇は、そのクライマックスを迎えるための仕込みに相当するパートであり、意外と地味な内容だが、キャラクターの紹介を兼ねたプロローグとして巧みに作られているし、何よりも青春映画としてきちんと成立しているのも好感度大。原作がライトノベルということもあり、1970年代にNHKで放映されていた「少年ドラマシリーズ」を彷彿とさせるのも郷愁をそそる。

ところで本作で描かれる能力(超能力ではない)とは、どれもこれも些細なものばかりで、それ単独では使えないものばかり。美空が持つリセットなどは中でも強力な部類だが、その間の本人の記憶すら失ってしまうという使えなさ。しかし、ケイの記憶保持の能力はリセットの影響を受けないために、美空とケイがペアとなることで始めてその効力が発揮できるのだ。この能力の複合という設定はなかなか斬新であった。しかもそれがきちんと物語に反映されているのがいいんだな。

とは言え、物語はまだ完結していないので、真の評価は後篇を見てからということになるだろう。

主題歌:「ラストコール」flumpool

出演:野村周平黒島結菜平祐奈玉城ティナ、健太郎、恒松祐里、岡本怜、岩井拳士朗、矢野優花奥仲麻琴吉沢悠丸山智己中島亜梨沙大石吾朗加賀まりこ

原作:河野裕

脚本:深川栄洋

監督:深川栄洋

2017/3/25公開 配給:ショウゲート

(2017年4月6日 21:40 TOHOシネマズ海老名)